フレディ・フリーマンは、卓越した打撃技術と勝負強さでMLBを代表する一塁手として輝きを放つ選手です。
アトランタ・ブレーブスでのワールドシリーズ制覇からロサンゼルス・ドジャースでのさらなる成功まで、彼のキャリアは試練と栄光に満ちています。
この記事では、その軌跡とコンタクトヒッターとしてのプレイスタイルを紐解きます。
幼少期からプロ入り:野球一家のスター候補
フレデリック・チャールズ・フリーマン(Frederick Charles Freeman)は、1989年9月12日にアメリカ合衆国カリフォルニア州ファウンテンバレーで生まれました。
両親ともにカナダ出身で、野球に深い縁を持つ家庭で育ちます。
父親のフレッドは地元の少年野球コーチで、幼い頃からフレディに打撃の基本を叩き込みました。
高校時代にはカリフォルニア州エル・モデナ高校で活躍し、2007年のMLBドラフトでアトランタ・ブレーブスから2巡目(全体78位)で指名を受けます。
プロ入りを決断した彼は、マイナーリーグで順調に成長を遂げ、2010年9月1日にメジャーデビューを果たしました。
初安打を放ち、ブレーブスの一塁手としてのキャリアがスタートします。
この時、彼はまだ20歳で、将来のスター候補としての期待が寄せられました。
MLBでの飛躍:2010年代のブレーブス時代
フリーマンがブレーブスの主力として定着したのは2011年シーズンです。
この年、打率.282、21本塁打、76打点を記録し、新人王投票で2位に入りました。
以降、彼は一塁手として安定した成績を残し、2018年には打率.309、23本塁打、OPS.892で初のオールスター選出とゴールドグラブ賞を受賞します。
2019年はキャリアハイの38本塁打、2020年はコロナ禍の短縮シーズンで打率.341、13本塁打を記録し、ナ・リーグMVPに輝きました。
この時期、ブレーブスは彼を中心に強豪へと成長し、2021年にはワールドシリーズ制覇を達成します。
ポストシーズンでは打率.304、5本塁打と活躍し、自身初のチャンピオンリングを獲得しました。
ブレーブスでの11年間で通算284本塁打を放ち、チームの顔として愛されました。
新天地ドジャースへ:2022年の移籍とさらなる成功
2021年オフ、フリーマンはブレーブスとの契約交渉がまとまらず、2022年にロサンゼルス・ドジャースへ6年1億6200万ドルの大型契約で移籍します。
地元カリフォルニアへの帰還でもあったこの移籍は、新たな挑戦の始まりでした。
初年度の2022年、彼は打率.325、21本塁打、100打点、OPS.918を記録し、ドジャースの強力打線を牽引します。
ポストシーズンではやや苦戦したものの、レギュラーシーズンの安定感は圧倒的で、オールスター選出とシルバースラッガー賞を受賞しました。
2023年も打率.331、29本塁打、102打点と高い成績を維持し、打率リーグ1位を獲得。
2024年は打率.282、22本塁打、91打点と若干数字を落としたものの、ポストシーズンで打率.300、4本塁打と勝負強さを発揮し、ドジャースのワールドシリーズ制覇に貢献しました。
試練と家族:個人的な困難を乗り越えて
フリーマンのキャリアには試練もありました。2014年には母親を乳がんで亡くし、精神的に大きな打撃を受けます。
また、2024年には息子のマックスがギラン・バレー症候群で入院し、彼自身も一時チームを離れるなど、家族との時間を優先しました。
それでも、彼は野球への情熱を失わず、復帰後は息子のために戦う姿を見せます。
この人間的な一面がファンに愛される理由でもあり、2025年3月時点で35歳の彼は、家族と共に歩むキャリアを続けています。
ドジャースとの契約は2027年まで残っており、今後もチームの中心として期待されています。
プレイスタイル:完璧なコンタクトヒッター
フリーマンのプレイスタイルは、卓越したコンタクト能力と一貫性が特徴です。
左打席からのスイングは流れるように美しく、平均打球速度88.9マイル(2023年)、バレル率8.8%と質の高い打球を生み出します。
選球眼も優れ、四球率10%以上を維持しつつ、三振率はキャリア平均15.5%と低い水準です。
彼の打撃は広角に打ち分けるスタイルで、2023年の打率.331は左右両方向への安打がバランス良く分布していました。
長打力も増し、30本塁打前後をコンスタントに記録する一方で、打率3割を維持する稀有な打者です。
守備では一塁手として柔軟性と正確性を兼ね備え、ゴールドグラブ賞を獲得するほどの高い評価を受けています。
試合中の冷静な判断力とリーダーシップも際立ち、若手へのアドバイスも惜しみません。
今後の展望:殿堂入りへの道
フリーマンは、通算512二塁打、305本塁打、打率.301(2024年終了時点)と、殿堂入り級の成績を積み上げています。
MVP1回、ワールドシリーズ2回、オールスター8回という実績は、彼が現代最高の一塁手の一人であることを示します。
2025年シーズンは36歳となり、身体的な衰えが懸念されますが、彼の打撃技術と経験はそれを補って余りあります。
ドジャースでは大谷翔平やムーキー・ベッツらと共に強力打線を形成し、再びワールドシリーズ連覇を目指します。
ファンからは「フレディ・ザ・コンスタント」の愛称で呼ばれ、その一貫した活躍はチームに安定感をもたらしています。
将来的には、カナダ人選手として初めて殿堂入りする可能性もあり、野球史に名を刻む存在となるでしょう。
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