首位打者(2024年)、本塁打王・打点王(2023年)、最高出塁率(2019・2020・2023・2024年)、ベストナイン5度、ゴールデングラブ賞。
福岡ソフトバンクホークスの近藤健介は、プロ15年目を迎えた今もパ・リーグを代表する打者として君臨しています。
身長171センチと決して大柄ではありませんが、広角にボールを捉える左打席のスタイルと異常ともいえる選球眼で、NPB通算出塁率は4割を超えています。
日本ハム時代は「つなぐ打者」として積み重ねたキャリアを、ソフトバンク移籍後に一変させた32歳の物語は、プロ野球の「進化」という言葉の見本のようです。
原点と学生時代
1993年8月9日、千葉県千葉市生まれ。小学校時代には千葉ロッテマリーンズジュニアに選出され、第1回のNPB12球団ジュニアトーナメントで準優勝を経験。
中学は軟式野球の名門・修徳中学校へ進み、2年生時に全国大会に出場しています。
高校は名門・横浜高等学校へ進学。
スポーツ推薦ではなく一般入試で門を叩き、それでも入学後すぐにレギュラーをつかんだといいます。
高校3年時には春と夏の甲子園に出場し、その打撃センスがプロのスカウトの目に留まりました。
しかし、横浜高校という屈指の強豪からの指名順位はドラフト4位。数字が高い評価を示していたわけではありません。
その選手が後に首位打者と本塁打王を獲得するのですから、プロの世界はわからないものです。
プロ入り後の歩みと転機
2012年、1年目から一軍公式戦デビューを果たすと、捕手として先発出場。
日本ハムの高卒新人選手が捕手として公式戦に先発した事例は、前身の東映フライヤーズ時代以来56年ぶりでした。
最初のポジションが捕手だったことは、この選手のキャリアがいかに多様な経緯をたどったかを示しています。
その後、外野手に転換しながら頭角を現していきます。
大きな転機が2017年です。
開幕から打率4割を超える打率を維持し続け、47試合目の終了時点で打率.415。
パ・リーグで張本勲が1973年に作った球団記録を塗り替え、50試合まで打率4割を維持しました。
ただし、この年は腰椎椎間板ヘルニアで手術を余儀なくされ、シーズン途中で登録抹消。
才能を示しながらも怪我に泣かされる展開が続きます。
それでも近藤は折れませんでした。
2019年に最高出塁率を初受賞し、2020年も2年連続で同タイトルを獲得。
108試合に出場しながら89四球、出塁率.465という傑出した数字を残しています。
出塁することへの執着が数字に表れた2年間でした。
2022年オフ、11年間在籍した日本ハムへのFA残留要請を断り、ソフトバンクへ移籍。
入団会見では「ギータさんより貰っているわけないんで」と契約規模の報道を否定する場面もありました。
そして移籍1年目の2023年。長打狙いのスタイルへと変わったことで本塁打を量産し、自身最多となる26本塁打、87打点を記録。
最多本塁打と最多打点の二冠を獲得し、3シーズンぶりの最高出塁率タイトルも手にしました。
四球数は1968年の野村克也を55年ぶりに抜く球団新記録。移籍初年度での主要2冠獲得は、日本出身者では1950年以来73年ぶりの快挙でした。
2024年はシーズン途中に右足首を負傷して登録抹消となりましたが、打率.314、出塁率.439で自身初の首位打者と4度目の最高出塁率を獲得。
投高打低が際立つシーズンにパ・リーグで唯一の打率3割台打者となり、クライマックスシリーズでは11打数6安打・打率.545と圧倒的な存在感でチームのリーグ優勝に貢献。
MVPを初受賞しています。
プレースタイルの特徴と主な実績
近藤の打撃の核心は「逆らわない」ことです。
インコースは引っ張り、アウトコースは流す。
球筋を見極めながらコースに応じてバットを当てる技術が、安定した高打率と高出塁率を生んでいます。
投球コースに逆らうことなく広角に長打や単打を打ち分け、際どいコースはきっちりと見極める選球眼が、投手にとってやっかいな打者です。
ソフトバンク移籍後は日本ハム時代の「つなぐ打撃」から打球の角度を上げた長打狙いへシフトし、本塁打数が大きく伸びました。
打撃スタイルを自ら変える柔軟性と、それを実際に数字に結びつける技術の高さが共存しています。
2025年7月8日には通算100本塁打を達成し史上311人目。
同7月27日には通算300二塁打を達成し史上80人目の記録保持者になっています。
国際舞台でも存在感を示し、2021年東京五輪で金メダル、2023年WBCでは打率.346・出塁率.500と攻撃的な2番として世界一に貢献しました。
まとめ
横浜高からドラフト4位で日本ハムへ、そしてFA権行使でソフトバンクへ。
11年間の積み重ねを土台に、移籍後2シーズンで5つの個人タイトルを手にしました。
2025年は腰の手術で75試合の出場にとどまる苦しいシーズンを経験しましたが、2026年は万全のコンディションでの再起を誓っています。
32歳の「進化を続ける打者」が今季どんな数字を残すか。
出塁率4割という数字をこの年齢で維持し、さらに長打も重ねられるなら、まだ記録の更新余地は十分あります。
三振を恐れずスイングし、見極めるべき球は粘り強く見極める。
近藤健介のバットがホークス打線の中心で動き続ける限り、この選手の物語はまだ続いています。





















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