2023年WBC準決勝のメキシコ戦、3点ビハインドの7回、走者がヘッドスライディングで左手を引き込んでタッチをかわすトリッキーな動きを見せた。
一度はセーフと判定されたが、リプレー検証でアウト。
一度はベースに触れた走者の右手がわずかに離れた瞬間に源田のグラブが左足に触れており、「源田の1ミリ」と呼ばれた場面です。
しかも源田はその試合に、右手小指の骨折を抱えたまま出場していました。
埼玉西武ライオンズの背番号6、源田壮亮の守備は、体の限界を超えた場所でも精度が落ちません。
新人王、盗塁王、ベストナイン4度、ゴールデングラブ賞7度。
プロ10年目を迎えた今、日本を代表する遊撃手として2026年WBCにも選出されています。
原点と学生時代
1993年2月16日、大分県大分市生まれ。
大分商業高等学校時代は3年春の県準優勝が最高成績で、甲子園出場を果たすことはできませんでした。
それでも当時からプロのスカウトの目に留まっていたといいます。
大学進学を選んだのは、さらに力をつけてからというシンプルな判断でした。
愛知学院大学でプレーした後、進んだのがトヨタ自動車の野球部。
当時を知る大学監督が「1つ前の試合のシートノックを見ていたら、抜群に動きのいいショートがいる。
頭の高さがまったく変わらず、氷の上を滑るような動きでゴロをさばいているんです。
打球が源田のほうにすり寄っているように見えました」と語ったほどの守備センスは、大学時代からすでに際立っていました。
トヨタ自動車の2年間はそのセンスを技術に変えた時期でもあり、2016年の都市対抗野球大会で初優勝に貢献。
そのオフのドラフトで西武から3位指名を受けてNPBの門を叩きました。
プロ入り後の歩みと転機
1年目の2017年、石毛宏典以来1981年以来となる新人遊撃手での開幕スタメンを勝ち取り、全試合出場でシーズン155安打を記録。
新人扱いの日本人選手としては2リーグ分立後3位の記録で、見事に新人王を受賞しました。
プロ入りと同時に正遊撃手の座をつかんだ選手は、それほど多くありません。
翌2018年も全143試合に出場し、新人から2年連続フルイニング出場は史上初の記録となりました。
9月29日のソフトバンク戦では遊撃手のシーズン補殺記録を70年ぶりに更新し、526に伸ばしています。
ゴールデングラブ賞・ベストナインをともに初受賞し、入団3年目の内野手で年俸8000万円に達したのも史上初でした。
2019年は4月に右手関節挫傷で連続試合出場が299試合で止まるアクシデントに見舞われましたが、135試合に出場してゴールデングラブ賞・ベストナインを2年連続で受賞。
翌2020年からは秋山翔吾のメジャー移籍を受け、チームのキャプテンに就任しています。
2021年は初の盗塁王を獲得。
そして2023年のWBC、3月10日の韓国戦で走塁中に右手小指を骨折しながら、6日後の準々決勝・イタリア戦で復帰。
準決勝・メキシコ戦、決勝・米国戦と正遊撃手としてフル出場し、日本の世界一奪還を支えました。
骨を折っても守備位置を離れなかった姿勢が、米メディアにも取り上げられるほど大きな反響を呼びました。
2025年は大腿直筋の損傷で104試合の出場にとどまり、打率.209と苦しいシーズン。
2018年から続いていたゴールデングラブ賞の連続受賞も「7」でストップしました。
しかし「もう一度ショートのレギュラーとして、一からやり直す」と語り、2026年WBCに向けて自ら秋季練習への参加を申し出ています。
プレースタイルの特徴と主な実績
源田の守備を見た人が共通して使う言葉が「たまらん」です。
打球への第一歩が速く、ボールへ向かうのではなくボールが近づいてくるように見える独特の動き。
いくつかのポジションから打球を処理しなければならない遊撃手として、どの角度にも対応できる送球の柔軟性も持っています。
打撃では足を使った攻撃が持ち味で、2021年には24盗塁で盗塁王を獲得しています。
長打力は多くないものの、1番・2番として機能する出塁と走塁の意識が高く、チームの攻撃の起点を担ってきました。
主な受賞歴として、最優秀新人(2017年)、盗塁王(2021年)、ベストナイン(2018・2019・2020・2021年)、ゴールデングラブ賞(2018年から2024年の7年連続)。
国際舞台では2019年プレミア12(優勝)、2021年東京五輪(金メダル)、2023年WBC(優勝)と、日本代表として主要大会すべてに出場し、すべてで結果を出しています。
まとめ
ドラフト3位でプロ入りした遊撃手が、球界を代表する名手になるまでに時間はかかりませんでした。
それでも10年目のシーズンは苦しく、数字だけ見ればキャリア最低の1年です。
2026年WBCの強化試合では安定した守備に加えて2安打を放ち、評価する側の「最後まで外せない」という言葉を引き出しました。
骨折しながら守り続けた2023年の姿が、この選手の本質を示しています。
グラブの先の1ミリに込められた覚悟が、源田壮亮というショートの価値を作っています。
33歳の再スタート、今季のベルーナドームでどんな守備が飛び出すか。
それを見届けることが、西武ファンの楽しみのひとつになっています。





















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