2026年現在、メジャーリーグ(MLB)のシカゴ・カブスで先発ローテーションの柱として君臨し、全米の野球ファンを熱狂させている日本人左腕がいます。
「投げる哲学者」の異名を持つ今永昇太(いまなが しょうた)投手です。
独特の感性から紡ぎ出される言葉と、打者の手元で浮き上がるような快速球を武器に、彼は日本プロ野球(NPB)の横浜DeNAベイスターズでエースへと登り詰め、さらにはワールド・ベースボール・クラシック(WBC)での世界制覇、そしてMLBでの歴史的なデビューと、常に挑戦の道を歩んできました。
本記事では、今永投手のこれまでの歩みと、彼を象徴するエピソード、そして現在に至るまでのキャリアを詳しく解説します。
アマチュア時代からプロ入りまで:駒澤大学の左腕エース
今永昇太投手は1993年、福岡県北九州市に生まれました。
地元の北九州市立永犬丸(えいのまる)中学校、福岡県立北筑(ほくちく)高校を経て、駒澤大学へと進学します。
駒澤大学での覚醒
大学時代、今永投手は東都大学野球連盟という「戦国東都」と呼ばれる極めてレベルの高い環境で磨かれました。
3年時には秋季リーグの優勝に貢献し、MVPや最優秀投手賞を獲得。
当時から高い奪三振能力を誇り、ドラフト会議の目玉選手として注目を集めました。
しかし、4年時に左肩の故障を経験。
この苦難が、後の「哲学的」とも称される、自分自身の身体と精神を深く見つめ直すスタイルの原点になったとも言われています。
2015年ドラフト1位で横浜DeNAへ
2015年のドラフト会議で、横浜DeNAベイスターズから1位指名を受け入団。
低迷期を脱しつつあったベイスターズにおいて、左のエース候補として大きな期待を背負ってのプロ入りでした。
横浜DeNAベイスターズ時代:エースへの階段と「哲学者」の誕生
今永投手のNPBでのキャリアは、華々しい成功と、それを上回るほどの深い内省の繰り返しでした。
ルーキーイヤーからの活躍
2016年のルーキーイヤー、今永投手は開幕から先発ローテーションに入り、8勝を挙げます。
数字以上にファンの印象に残ったのは、そのストイックな姿勢でした。
試合後のインタビューで発せられる「負けた投手にふさわしい投球だった」「援護がないという言い訳は、防御率0点台の投手だけが言える」といった言葉は、若くして強い責任感を象徴していました。
苦悩と復活、そしてノーヒットノーラン
2018年には左肩の不調もあり4勝11敗と大きく負け越しますが、2019年には13勝を挙げて見事に復活。
2022年6月7日の北海道日本ハムファイターズ戦では、札幌ドームでノーヒットノーランを達成しました。
この快挙を成し遂げた際も、彼は奢ることなく「一人の力では達成できなかった」と語り、常にチームと野球に対する誠実な姿勢を貫きました。
この頃には「今永の言葉」をまとめたコンテンツが作られるほど、彼の思考法はプロ野球界で一目を置かれる存在となっていました。
世界を震撼させた2023年WBC
今永投手の評価を世界的なものにしたのは、2023年に開催された第5回WBCでした。
決勝・アメリカ戦の先発マウンド
侍ジャパンの一員として選出された今永投手は、主に第2先発として安定した投球を見せていました。
そして迎えたアメリカとの決勝戦。
栗山英樹監督から先発のマウンドを託されたのは、今永投手でした。
マイク・トラウト選手やポール・ゴールドシュミット選手といった、MLBの超一流打者が並ぶアメリカ打線に対し、今永投手は臆することなく自慢のストレートを投げ込みます。
1失点に抑え、世界一への流れを作ったその投球は、MLBのスカウトたちの目に「今すぐメジャーで通用する左腕」として焼き付いたのです。
MLB挑戦:シカゴ・カブスでの歴史的快進撃
2023年オフ、ポスティングシステムを利用してMLB挑戦を表明。
2024年1月、名門シカゴ・カブスと契約を結びました。
2024年:全米を驚かせた「昇太ブーム」
2024年シーズン、今永投手はMLBの歴史にその名を刻む衝撃的なデビューを飾ります。
- デビューからの連続無失点: 開幕から圧巻の投球を続け、防御率は一時0点台をキープ。
- 空振りを奪う「Hop」: 彼のストレートは、MLBの平均を大きく上回るホップ成分(垂直方向の変化)を持っており、大男たちが面白いように空振りを喫しました。
- オールスター選出: 1年目からオールスターゲームに選出され、全米にその名が知れ渡りました。
シカゴのファンは、彼の名前「Shota」にちなんで、三振を奪うたびに「Shota!」と叫び、その愛されるキャラクターと実力で、瞬く間にチームのアイドル的存在となりました。
2025年シーズンから現在(2026年)
2025年シーズンも今永投手は大きな怪我なく1年間ローテーションを守り抜きました。
MLBの打者が彼の「浮き上がる速球」を研究してくる中、スイーパーやチェンジアップの精度をさらに高め、2年連続での二桁勝利を達成。
2026年1月現在、彼はカブスのエース格として、そして若手投手の模範となるベテラン(リーダー)としての役割も期待される存在となっています。
プレースタイルと「今永昇太」という人間性
今永投手の成功の理由は、単なる身体能力だけではありません。
- 球質の特殊性: 球速以上に打者が速さを感じるストレート。回転軸が理想的で、重力に逆らうような軌道を描きます。
- 飽くなき探究心: 動作解析やデータ分析を積極的に取り入れ、自分の投球を客観的に数値化して改善し続ける姿勢。
- 言葉の力: 自分の感情を言語化することで、プレッシャーをコントロールし、高い集中力を維持しています。
最後に
今永昇太投手のキャリアは、常に「自分自身との対話」によって切り拓かれてきました。
横浜の地でエースの重圧に耐え、WBCで世界の頂点を知り、シカゴで新たな伝説を作っている彼の姿は、多くの野球ファンに「思考し続けることの大切さ」を教えてくれます。
2026年、MLB3年目のシーズンを迎える今永投手が、さらに進化した「哲学」を持ってどのような投球を披露してくれるのか。
左腕から放たれる一球一球に、世界中の視線が注がれています。











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