アーロン・ジャッジ:Aaron Judge

 

アーロン・ジャッジ(Aaron James Judge)は、現代メジャーリーグベースボール(MLB)を象徴する選手の一人で、ニューヨーク・ヤンキースの主砲として圧倒的な存在感を放っています。

1992年4月26日、カリフォルニア州サンホアキン郡リンデンで生まれ、身長201cm、体重128kgという規格外の体格を活かし、驚異的なパワーとリーダーシップでファンを魅了しています。

2023年からヤンキースのキャプテンを務めるジャッジのキャリアは、努力、才能、そして不屈の精神に彩られています。

この記事では、彼の生い立ちからプロ入り、記録破りのシーズン、そして最新の活躍までを詳しく振り返ります。

幼少期と学生時代:多才なアスリートの芽生え

ジャッジは生後すぐに養子としてパティとウェイン・ジャッジ夫妻に迎え入れられ、カリフォルニアで育ちました。

両親は教師で、学業を重視する家庭環境の中で、彼は規律と努力を学びました。

リンデン高校では野球だけでなく、フットボールとバスケットボールでも傑出した才能を発揮しています。

フットボールではタッチダウン記録を樹立し、バスケットボールではチームを牽引するスコアラーでした。

しかし、彼の心を最も捉えたのは野球でした。

2010年、MLBドラフトでオークランド・アスレチックスから31巡目で指名されましたが、ジャッジは大学進学を選びます。

カリフォルニア州立大学フレズノ校に進み、野球に専念しました。

1年目から打率.358を記録し、ルイビル・スラッガー社の「Freshmen All-American」に選ばれています。

3年間で打率.346、17本塁打、92打点をマークし、2012年にはカレッジ・ホームランダービーで優勝しました。

大学での活躍はプロのスカウトの注目を集め、後の成功の礎となりました。

プロ入り:ヤンキースへの道

2013年、ジャッジはニューヨーク・ヤンキースからドラフト1巡目(全体32位)で指名され、180万ドルの契約金でプロ入りしました。

しかし、初年度は太ももの筋断裂で全休し、試練のスタートとなりました。

2014年にマイナーリーグで復帰すると、打率.333、9本塁打を記録し、才能の片鱗を見せています。

2016年8月13日、ついにMLBデビューを果たしました。

初打席でホームランを放ち、チームメイトのタイラー・オースティンと共に「新人初打席連続本塁打」という歴史的快挙を達成しています。

 

 

しかし、シーズン終盤に斜腹筋の負傷で離脱し、打率.179と苦しいデビューとなりました。

2017年:ルーキーイヤーの大ブレイク

2017年、ジャッジは一気にスターダムにのし上がりました。

開幕から右翼手のレギュラーに定着し、打率.284、52本塁打、114打点を記録しています。

 

 

52本塁打はMLB新人記録で、ア・リーグの本塁打王に輝きました。

さらにホームランダービーで優勝し、ファンに強烈な印象を与えました。

この年、全会一致でア・リーグ新人王に選ばれ、MVP投票でも2位にランクインしています。

規格外の体格から放たれる特大ホームランと、俊敏な守備、優れた選球眼で「次世代の顔」として注目されました。

試練と復活:怪我との闘い

2018年から2020年にかけて、ジャッジは怪我に悩まされました。

2018年7月に手首を骨折し、112試合の出場に留まっています。

2019年は斜腹筋の負傷で102試合、2020年はコロナ禍とふくらはぎの故障で28試合のみでした。

精彩を欠く時期もありましたが、復帰のたびに力強い打撃を見せています。

2019年のオフには減量と食生活の改善に取り組み、コンディション管理を徹底しました。

2021年には打率.287、39本塁打を記録し、完全復活をアピールしています。

 

 

2022年:歴史的シーズンとMVP

2022年はジャッジのキャリアの頂点とも言える年でした。

シーズン序盤から本塁打を量産し、7月には通算200本塁打を史上2番目の速さで達成しています。

9月20日には60本塁打に到達し、21年ぶりの快挙を果たしました。

 

 

そして10月4日、テキサス・レンジャーズ戦でロジャー・マリスのア・リーグ記録(61本)を61年ぶりに更新する62本塁打を記録しています。

 

 

この記録は、禁止薬物疑惑のない選手としては史上最多とされ、「真のホームラン王」と称賛されました。

最終成績は打率.311、62本塁打、131打点で、本塁打王と打点王を獲得しました。

OPS+211、fWAR11.5はリーグトップで、ア・リーグMVPに輝いています。

さらにハンク・アーロン賞、シルバースラッガー賞を受賞し、タイム誌の「最優秀アスリート」に選ばれました。

 

 

オフにはフリーエージェントとなり、ジャイアンツやパドレスとの交渉が報じられましたが、ヤンキースと9年3億6000万ドル(約504億円)の大型契約で残留しています。

年平均4000万ドルは野手最高額で、2023年からキャプテンに就任しました。

2023年以降:キャプテンとしての挑戦

 

2023年は怪我の影響で出場が122試合に留まりましたが、打率.267、37本塁打を記録しています。

2024年はさらなる飛躍を見せ、打率.322、58本塁打、144打点で2度目のMVPを全会一致で獲得しました。

 

 

ヤンキースを15年ぶりのワールドシリーズに導きましたが、ドジャースに敗れ、初の優勝リングは逃しています。

それでも、得点圏打率.336の勝負強さとリーダーシップは高く評価されました。

2025年シーズン開幕直後には、1000試合目までに通算321本塁打を記録し、ベーブ・ルースに並ぶヤンキース記録を樹立しています。

6本塁打、18打点でリーグトップに立つ好スタートを切りました。

ジャッジの魅力と今後の展望

ジャッジの魅力は、単なるパワーだけではありません。

巨漢ながら華麗な外野守備、優れた選球眼、そしてチームを鼓舞する人間性があります。

ファンからは「オール・ライズ(All Rise)」の愛称で親しまれ、ニューヨークのアイコンとして君臨しています。

松井秀喜さんから指導を受けたエピソードも日本ファンには印象深いです。

通算300本塁打を史上最速ペースで達成した彼は、バリー・ボンズ(762本)やハンク・アーロン(755本)といったレジェンドにどこまで迫れるか注目されます。

現在33歳のジャッジは、2026年のWBC出場にも意欲的です。

 

 

怪我のリスクと向き合いながら、ヤンキースを27度目のワールドシリーズ制覇に導くことが最大の目標です。

2025年はさらなる記録更新と初のチャンピオンシップを目指し、彼のバットが再び轟くでしょう。

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