山本由伸:Yoshinobu Yamamoto

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現代の野球界において、日本が生んだ最高の右腕としてその名を轟かせている山本由伸投手。

オリックス・バファローズでの圧倒的な無双状態を経て、メジャーリーグの名門ロサンゼルス・ドジャースへと渡り、わずか2年で世界の頂点に君臨しました。

178cmと投手としては小柄ながら、独自のトレーニングと圧倒的な技術で打者をねじ伏せるその姿は、多くの野球ファンを魅了し続けています。

本記事では、ドラフト4位からの下克上、日本球界での前人未到の記録、そしてメジャー移籍後の苦闘と栄光に至るまで、山本由伸選手の輝かしいキャリアを網羅的に解説します。

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オリックス時代:ドラフト4位からの怪物伝説

山本由伸投手のプロキャリアは、2016年のドラフト会議でオリックス・バファローズから4位指名を受けたところから始まります。

高校時代(都城高)から150km/hを超える直球を投げていたものの、上位指名ではなかった彼は、プロ入り後にその才能を急速に開花させました。

2017年: 高卒1年目にして1軍デビューを果たし、初勝利を挙げます。

 

 

2018年: セットアッパーとして定着し、54試合に登板。防御率2.89、32ホールドを記録し、パ・リーグを代表する若手リリーフ投手として注目を集めました。

2019年: 先発へ再転向すると、いきなり防御率1.95という驚異的な数字で「最優秀防御率」のタイトルを獲得。ここから「山本無双」の時代が始まります。

 

 

この時期、山本投手が取り入れた「やり投げ(ジャベリックスロー)」を応用したトレーニングや、ブリッジなどの柔軟性を重視した独自のアプローチは、球界全体に大きな衝撃を与えました。

前人未到の「投手4冠」と3年連続沢村賞

2021年から2023年にかけての3年間、山本由伸投手は日本のプロ野球史を塗り替える圧倒的な成績を残しました。

3年連続の「投手4冠」: 最多勝、最優秀防御率、最多奪三振、最高勝率の主要タイトルを、2021年から2023年まで3年連続で独占しました。これは日本プロ野球史上初となる歴史的快挙です。

3年連続の沢村賞とMVP: 投手として最高の名誉である「沢村賞」、そしてリーグの「MVP」を3年連続で受賞。もはや日本国内に敵はいないことを証明しました。

2度のノーヒットノーラン: 2022年6月の西武戦、2023年9月のロッテ戦でノーヒットノーランを達成。大舞台での勝負強さと精密機械のような制球力を見せつけました。

 

 

NPB通算成績は172試合に登板し、70勝29敗、防御率1.82。この圧倒的な実績を引っ提げ、彼はポスティングシステムによるメジャー挑戦を表明しました。

メジャーへの扉:史上最高額でのドジャース移籍

2023年オフ、山本由伸投手を巡る争奪戦は過熱を極めました。

最終的に彼が選んだのは、ロサンゼルス・ドジャース。

その契約内容は、「12年総額3億2500万ドル(約463億円)」というものでした。

これは、当時大谷翔平選手が結んだ契約を除けば、投手としてはMLB史上最高額かつ最長期間の契約です。

実績のないメジャー1年目の投手にこれほどの巨額が投じられたことは、米国メディアでも大きな話題となりました。

ドジャースは、彼を単なる新戦力ではなく、今後10年間のチームの柱として迎え入れたのです。

2024年:怪我を乗り越え掴んだ世界一

2024年、メジャー1年目のシーズンは波乱の幕開けでした。

韓国での開幕第2戦(パドレス戦)でデビューしたものの、1回5失点と打ち込まれ、メジャーの洗礼を受けます。

しかし、その後は徐々に適応し、持ち前の防御率の低さを発揮しました。

故障による離脱: 6月のカンザスシティ・ロイヤルズ戦で右肩の回転筋腱板(ローテーターカフ)に違和感を覚え、負傷者リスト入り。約3ヶ月の戦線離脱を余儀なくされました。

復活とポストシーズンの躍進: 9月に復帰すると、プレーオフでは重要な役割を担います。パドレスとの地区シリーズ第5戦では5回無失点の好投を見せ、チームを救いました。

 

 

ワールドシリーズ制覇: ニューヨーク・ヤンキースとのワールドシリーズ第2戦に先発。6回1/3を投げ、ソト選手のソロ本塁打による1点のみに抑える圧巻の投球で勝利投手となりました。チームは4勝1敗でヤンキースを破り、山本投手は移籍1年目でワールドチャンピオンのリングを手にしました。

2024年最終成績:18先発 7勝2敗 防御率3.00 奪三振105。

 

 

2025年:ドジャースのエースへ、そしてWS MVP

メジャー2年目となった2025年、山本由伸投手は文字通り「ドジャースのエース」としての地位を確立しました。

前年の肩の怪我を完全に克服し、シーズンを通してローテーションを守り抜きました。

レギュラーシーズンの支配: 30試合に登板し、12勝8敗、防御率2.49、奪三振201という圧巻の成績をマーク。WHIP(1イニングあたりの許した走者数)は0.99という驚異的な安定感を見せ、オールスターゲームにも初選出されました。

 

 

NLCSでの歴史的完投: ミルウォーキー・ブリュワーズとのリーグチャンピオンシップシリーズ(NLCS)第2戦において、111球を投げてメジャー初完投勝利を挙げました。ポストシーズンでの日本人投手の完投は極めて稀であり、全米のファンにその実力を知らしめました。

ワールドシリーズ連覇とMVP: チームは2年連続でワールドシリーズに進出。第7戦(対ニューヨーク・ヤンキース戦)では、緊迫した展開の中でリリーフとしても登板し、2.2イニングを無失点に抑える魂の投球を見せました。このシリーズを通した活躍が評価され、山本投手は「ワールドシリーズMVP」に選出。日本人投手として初の快挙を成し遂げ、2年連続のワールドチャンピオンに輝きました。

 

 

最後に

山本由伸投手のキャリアは、常に変化と進化の連続です。

NPBで3年連続投手5冠を達成した慢心はなく、メジャーの動くボールや過密な日程にも見事に対応してみせました。

2025年を終えた時点で、彼は「All-MLB First Team」にも選ばれるなど、メジャー全体を代表する右腕としての評価を不動のものにしています。

次なる目標は、メジャーの最優秀投手賞である「サイ・ヤング賞」の獲得。

そして、大谷翔平選手とともにドジャースの黄金時代を築き上げることでしょう。

日本が誇る小さな大投手の物語は、まだ始まったばかりです。

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