デトロイト・タイガースの左腕、タリック・スクーバルは剛速球とチェンジアップを軸に三振を積み重ねる本格派の先発投手です。
2018年に9巡目という低い順位で指名されながら、2024年と2025年に大リーグ最高峰の投手に贈られるサイ・ヤング賞を2年連続で獲得し、現在の左投手の中で最も評価の高い一人に数えられます。
故障を乗り越えてキャリアを積み上げてきた点も、この選手を語るうえで欠かせない要素です。
シアトル大学からの遠回り
スクーバルは1996年11月20日、カリフォルニア州ヘイワードで生まれ、幼少期にアリゾナ州キングマンへ移り住みました。
キングマン・アカデミー・オブ・ラーニングで野球とバスケットボールの両方でオールステートに選ばれるほどの選手でしたが、大学からの誘いはシアトル大学の1校のみでした。
大学2年の途中でトミー・ジョン手術を受けることになり、2017年のシーズンをまるごと棒に振っています。
この年、アリゾナ・ダイヤモンドバックスから29巡目で指名を受けましたが契約せず、シアトル大学に戻る道を選びました。
復帰後の最終シーズンは80イニングで106奪三振を記録し、2018年のドラフトでデトロイト・タイガースから9巡目、全体255位で指名されています。契約金は35万ドルでした。
プロ入り後の成長は早く、ルーキーリーグのガルフコースト・タイガースから始まり、同じ年のうちに1Aのウエストミシガン・ホワイトキャップスまで駆け上がりました。
2020年8月18日にメジャーデビューを果たしましたが、短縮シーズンだったこの年は1勝4敗、防御率5.63と苦しい船出でした。
転機は翌2021年です。開幕からローテーション入りを果たし、オールスター前に100奪三振に到達したタイガース史上初のルーキーとなり、シーズンを通じてタイガース新人記録となる164奪三振を記録しました。
故障からの生還
2022年は防御率3.51、117イニングで117奪三振と着実な成長を見せていましたが、8月に左腕の疲労を理由に登板を回避し、そのまま前腕部の屈筋腱を修復する手術を受けることになりました。
2度目のトミー・ジョン手術は避けられたものの、離脱期間は11か月に及び、復帰は2023年7月にずれ込んでいます。
復帰後の80イニング強では早くもサイ・ヤング賞級の内容を示し、この時点で周囲の期待は一気に高まりました。
2024年:投手三冠とサイ・ヤング賞初受賞
2024年、スクーバルは開幕投手を任されるとシカゴ・ホワイトソックス相手に6回無失点で白星発進し、そのまま自己最多となる192イニングを投げ抜きました。
5月5日のヤンキース戦では四球を与えずに12奪三振以上を記録し、これは実に100年ぶりとなるタイガース投手の快挙でした。
最終的にリーグ最多勝、最優秀防御率、最多奪三振の投手三冠を達成し、2011年以来ア・リーグでは初めてとなる三冠とサイ・ヤング賞の同時受賞者となりました。
サイ・ヤング賞は満票での受賞です。
この年はタイガースにとっても記憶に残るシーズンでした。
8月時点で借金があった状態から31勝13敗という猛追で10年ぶりのポストシーズン進出を決め、スクーバルはワイルドカードシリーズのアストロズ戦、地区シリーズのガーディアンズ戦第2戦と、ポストシーズン初登板から2試合連続の無失点投球を続けました。
しかし勝てば地区シリーズ突破という第5戦では5回に崩れ、レイン・トーマスに満塁本塁打を浴びて敗戦投手となり、タイガースの快進撃はここで終わっています。
2025年:連覇とポストシーズンでの死闘
2025年は自己最多に並ぶ31試合に先発し、13勝6敗、自己ベストとなる防御率2.21、241奪三振という成績を残しました。
リーグ最優秀防御率とリーグトップのWHIP0.89を記録し、2年連続でサイ・ヤング賞に輝いています。
これはペドロ・マルティネス以来となる連覇で、タイガースの中でも複数回のサイ・ヤング賞受賞投手はデニー・マクレインに次いで2人目となりました。
ポストシーズンでも存在感を示し続けています。
ワイルドカードシリーズのガーディアンズ戦第1戦では14奪三振でタイガースの球団プレーオフ記録に並び、続く地区シリーズではマリナーズと対戦しました。
3勝1敗で王手をかけられながら第4戦を制して迎えた第5戦、スクーバルは7者連続奪三振というポストシーズン新記録を樹立し、6回2安打無四球13奪三振という圧巻の投球を見せましたが、試合は延長15回の末に2対3でタイガースが敗れ、シリーズ敗退となりました。
3試合のポストシーズン登板で防御率1.74、36奪三振という数字を残しながらも、チームを次のラウンドへ進めることはできませんでした。
WBC2026 アメリカ代表
2026年3月、スクーバルはワールド・ベースボール・クラシックにアメリカ代表として初めて参加しました。
当初はグループステージのイギリス戦に1試合だけ登板してタイガースのキャンプに戻る計画でしたが、実際にマウンドに立ってみると想像以上の一体感を覚えたと明かしています。
イギリス戦では初球を本塁打にされたものの、その後は3回を無失点に抑えて5奪三振をマークしました。
もう1試合の追加登板を検討しているとも報じられましたが、フリーエージェントを控えるシーズンでもあり、故障のリスクを考慮して当初の予定通りチームに合流することを選んでいます。
本人は後日、次回大会や2028年のオリンピックがあれば真っ先に参加したいと語りました。
2026年:史上最高額の裁定と肘の手術
2026年2月、スクーバルはタイガースとの年俸調停でチーム側の1900万ドルという提示を退け、3人の調停委員の裁定により3200万ドルという年俸を勝ち取りました。
これはフアン・ソトが持っていた調停選手の年俸記録を更新し、投手としての調停記録も大きく塗り替える金額でした。
シーズンに入ると3勝3敗、防御率2.70という内容で先発を続けていましたが、5月1日のブレーブス戦の後に左肘に違和感を訴え、精密検査の結果、肘の中に遊離体が見つかりました。
5月6日に関節鏡手術を受けています。靭帯そのものに損傷はなく、比較的単純な処置とされたものの、当初は2、3か月の離脱が見込まれていました。
実際にはナノスコープと呼ばれる新しい低侵襲の手技を用いたことで回復は大幅に早まり、マイナーでのリハビリ登板を1度だけ経て、6月にはガーディアンズ戦で1軍に復帰しています。
手術からおよそ1か月というスピード復帰でした。2026年シーズン終了後にフリーエージェントとなることが決まっており、史上最高額とも噂される長期契約を見据えたシーズンとして、球界の注目を集めています。
プロフィール
| 生年月日 | 1996年11月20日 29歳 |
|---|---|
| 身長 | 191cm |
| 体重 | 109kg |
| 国籍 | アメリカ合衆国 |
| 投打 | 左投右打 |
| ポジション | 投手(先発) |





















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