サンディエゴ・パドレスは、1969年にメジャーリーグベースボール(MLB)のナショナルリーグに拡張チームとして加盟しました。
創設時は、モントリオール・エクスポズ、カンザスシティ・ロイヤルズ、シアトル・パイロッツとともに4つの新チームの一つとして誕生しました。
チーム名「パドレス」は、スペイン語で「神父」を意味し、1769年にカリフォルニアで最初のスペイン宣教会を設立したフランシスコ会の修道士に由来します。
これは、1936年にサンディエゴに到着したパシフィック・コースト・リーグ(PCL)のマイナーリーグチームから受け継がれた名前です。
オーナーはC. Arnholt Smithで、初代GMはBuzzie Bavasi、初代監督はPreston Gomezでした。
創設と初期の苦闘(1969-1970年代)
パドレスの歴史は、拡張チーム特有の苦難から始まりました。
1969年のデビュー戦ではヒューストン・アストロズに2-1で勝利しましたが、全体として苦戦を強いられました。
最初の6シーズン連続でナショナルリーグ西地区最下位となり、4回も100敗以上を記録しました。
1970年代前半は、Nate Colbertのような選手が目立ちました。
彼は拡張ドラフトで選ばれ、チームの初期の主砲として活躍しました。
1972年には38本塁打を放ち、1970年代初頭のMLBを代表するパワーヒッターの一人となりました。
Colbertは長年、チームの通算本塁打記録保持者でしたが、2024年にManny Machadoに抜かれました。
1974年にチームはRay Kroc(マクドナルド創業者)に売却され、経営が安定しました。
1976年にはRandy Jonesがサイ・ヤング賞を受賞しました。
これはパドレス史上初の同賞で、Jonesは2度のオールスター選出も果たしました。
しかし、チーム全体の成績は低迷が続き、1970年代を通じてプレーオフ進出はありませんでした。
初の黄金期と1984年ワールドシリーズ(1980年代)
1980年代に入り、パドレスは徐々に力をつけました。
Dick Williams監督の下、1984年に初めてナショナルリーグ西地区優勝を果たし、プレーオフに進出しました。
ナショナルリーグチャンピオンシップシリーズ(NLCS)でシカゴ・カブスを破り、初のペナントを獲得しました。
この年は、Tony Gwynnの台頭が象徴的です。
Gwynnは1982年にデビューし、1984年から8回のナショナルリーグ首位打者タイトルを獲得しました。
キャリア通算打率.338を記録し、パドレスの象徴となりました。
ワールドシリーズではデトロイト・タイガースに1-4で敗れましたが、チームの歴史に残る快挙でした。
1980年代後半には、Goose GossageやSteve Garveyなどの選手が活躍しました。
Garveyは1984年のNLCSで決勝ホームランを放ち、チームの英雄となりました。
1990年代の復活と1998年ワールドシリーズ
1990年代に入ると、チームは再び低迷しましたが、1995年にKevin TowersがGMに就任し、建て直しを図りました。
1996年にはKen CaminitiがナショナルリーグMVPを受賞し、チームは西地区優勝を果たしました。
また、Trevor Hoffmanがクローザーとして台頭し、キャリア通算601セーブを記録し、パドレスで最多の552セーブを挙げました。
Hoffmanは2018年に殿堂入りしました。
1998年には、Greg VaughnやTony Gwynnの活躍で再びNLペナントを獲得しました。
ワールドシリーズではニューヨーク・ヤンキースに0-4で敗れましたが、この時代のパドレスはファンに希望を与えました。
2000年代の移行期とPetco Park
2004年にチームは新しい本拠地Petco Parkに移転しました。
これにより、チームのイメージが向上しました。
2005年と2006年に連続で西地区優勝を果たしましたが、プレーオフでは早期敗退しました。
この時期の主な選手には、Jake Peavyがいます。
彼は2007年にサイ・ヤング賞を受賞し、パドレスで通算92勝を挙げました。
また、Adrian Gonzalezが2006年から2010年まで在籍し、打点王やゴールドグラブ賞を獲得しました。
2010年代の苦闘と再建
2010年代は、再建期となりました。
2012年から2019年までプレーオフ進出がなく、低迷が続きました。
しかし、若手選手の育成が進みました。
Wil MyersやEric Hosmerが加入しましたが、チーム成績は振るいませんでした。
2020年代の新時代
2020年にパンデミック短縮シーズンでプレーオフ進出を果たし、「Slam Diego」のニックネームで知られるようになりました。
4試合連続グランドスラムを記録したのです。
Fernando Tatis Jr.がスターとして台頭し、2021年に40本塁打・25盗塁を達成しました。
Manny Machadoも2019年から在籍し、チームのリーダーです。
2021年にはJoe Musgroveがチーム初のノーヒッターを達成、2024年にはDylan Ceaseが2人目のノーヒッターを投げました。
2022年にはNLCSまで進出しましたが、フィラデルフィア・フィリーズに敗れました。
2024年にはワイルドカードでプレーオフ進出を果たしました。
現在の主な選手には、Xander Bogaerts、Yu Darvish、Joe Musgroveなどがいます。
主な所属選手のまとめ
パドレスの歴史を通じて、多くの名選手が在籍しました。殿堂入り選手には、Tony Gwynn、Trevor Hoffman、Dave Winfield(1973-1980年在籍)、Roberto Alomar、Ozzie Smith、Gaylord Perry、Rickey Henderson、Greg Maddux、Willie McCovey、Fred McGriff、Mike Piazza、Rollie Fingers、Goose Gossageなどがいます。
Gwynnはパドレス一筋で、打撃の神様として知られます。
Hoffmanは史上最多セーブ保持者でした。
その他の著名選手には、Nate Colbert、Randy Jones、Ken Caminiti、Jake Peavy、Adrian Gonzalez、Manny Machado、Fernando Tatis Jr.、Steve Garvey、Benito Santiago、Garry Templetonなどが挙げられます。
これらの選手がパドレスの歴史を彩っています。
最後に
チームの通算成績は、1969年から2024年まで4,127勝4,717敗で、勝率.467です。
ワールドシリーズ優勝はまだありませんが、ファンの熱い支持を受けています。
西地区優勝は5回、プレーオフ進出は複数回あり、今後の活躍が期待されます。
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