シカゴ・カブスの歴史と主な所属選手

 

シカゴ・カブスは、メジャーリーグベースボール(MLB)のナショナルリーグ中地区に所属するプロ野球チームです。

本拠地はイリノイ州シカゴのリグレー・フィールドで、1870年に創設されたカブスは、MLB現存球団の中で最も古い歴史を持つチームの一つです。

創設以来、シカゴを本拠地とし続けています。

創設と初期の歴史

当初のチーム名は「シカゴ・ホワイトストッキングス」で、白いストッキングに由来していました。

1870年に全米野球選手協会に加盟しましたが、同年シーズン後にこの協会は解体されました。

1871年には全米プロ野球選手協会(ナショナル・アソシエーション)に参加したものの、同年10月のシカゴ大火で球場や備品が焼失し、1872年と1873年の2シーズンは活動を停止しました。

1876年にナショナルリーグが創設されると、カブスは創設メンバーとして加盟しました。

この時期、アルバート・スポルディング選手を中心にチームは強さを発揮し、ナショナルリーグ優勝を6回(1876年、1880年-1882年、1885年-1886年)達成しました。

1902年、主力選手の引き抜きにより若手中心のチームとなったことから、地元紙が「新米」を意味する「カブス(Cubs)」と呼び始め、1907年に正式名称となりました。

1907年と1908年にはワールドシリーズを連覇し、デトロイト・タイガースを破って黄金期を築きました。

この時代の中心選手には、ジョー・ティンカー、ジョニー・エバース、フランク・チャンスの「二遊一トリオ」がいました。

彼らの堅実な守備と攻撃力がチームの成功を支えました。

ヤギの呪いと低迷期

 

カブスは1908年以降、長い低迷期に突入しました。

特に1945年のワールドシリーズでの出来事は「ヤギの呪い」として知られています。

この年、シカゴで飲食店を営むウィリアム・“ビリー”・サイアニスさんが飼いヤギのマーフィーを連れて試合観戦に訪れましたが、ヤギの臭いを理由に入場を拒否されました。

激怒したサイアニスさんが「カブスは二度と勝てない」と呪いの言葉を残し、以降、チームはワールドシリーズ優勝から遠ざかりました。

この呪いはファン文化の一部となり、2016年まで語り継がれました。

1945年から2016年まで、カブスはリーグ優勝を71年間、ワールドシリーズ優勝を108年間達成できませんでした。

この間、幾度かプレーオフに進出しましたが、成功には至りませんでした。

1984年にはジム・フライ監督の下、ボブ・ダーニアー、ゲイリー・マシューズ・シニア、リック・サトクリフ、ライアン・サンドバーグ選手らの活躍で地区優勝を果たしました。

 

 

サトクリフ選手は16勝1敗でサイ・ヤング賞を獲得し、サンドバーグ選手はMVP級の活躍を見せましたが、リーグチャンピオンシップシリーズでサンディエゴ・パドレスに逆転負けしました。

この年のチームは「カブバスターズ」と呼ばれ、ファンに希望を与えましたが、優勝には届きませんでした。

1998年には、サミー・ソーサ選手がマーク・マグワイア選手(セントルイス・カージナルス)との本塁打王争いで注目を集めました。

ソーサ選手は66本塁打を記録し、チームをワイルドカードでプレーオフに導きましたが、地区シリーズで敗退しました。

 

 

ソーサ選手はカブスの象徴的選手として長く愛されましたが、後にステロイド使用疑惑が浮上し、評価は複雑です。

2016年の呪い打破と復活

2016年、カブスは108年ぶりのワールドシリーズ優勝を達成し、「ヤギの呪い」を打破しました。

テオ・エプスタインGMとジョー・マドン監督の下、クリス・ブライアント、アンソニー・リゾ、ジョン・レスター、ジェイク・アリエータ選手ら若手とベテランの融合が成功しました。

クリーブランド・インディアンスとのワールドシリーズは7戦までもつれ、延長10回にベン・ゾブリスト選手の決勝打で勝利しました。

 

 

シカゴの街は歓喜に沸き、ファンの長年の夢が叶った瞬間でした。

この優勝は、MLB史に残る逆転劇として語り継がれています。

リグレー・フィールドとファンの文化

カブスの本拠地リグレー・フィールドは1914年に開業し、MLBで2番目に古い球場です。

外野フェンスに絡まるツタや、ミシガン湖からの季節風による試合環境の変化が特徴で、打者有利な球場として知られています。

 

 

ツタに打球が入ると「エンタイトルツーベース」となる独特のルールもあります。

ファンは「憎めない愛されチーム」としてカブスを支持し、NPBの阪神タイガースに似た情熱的な応援文化を持っています。

リグレー周辺の「カブスビレッジ」は、試合日にはファンで賑わい、特別な雰囲気を生み出しています。

主な所属選手

以下はカブスの歴史を彩った主な選手です

アルバート・スポルディング(1876-1878)

初期のエースで、選手兼監督として活躍。後にスポーツ用品メーカー「スポルディング」を設立。

ジョー・ティンカー(1902-1912, 1916)

遊撃手として「二遊一トリオ」の一角。守備の名手で、1908年の優勝に貢献。

 

ライアン・サンドバーグ(1982-1994, 1996-1997)

二塁手として1984年にMVPを獲得。

通算282本塁打、344盗塁を記録し、2005年に殿堂入り。

 

 

サミー・ソーサ(1992-2004)

1998年に66本塁打を放ち、球団記録の通算545本塁打。ファンに愛されたスラッガー。

 

 

クリス・ブライアント(2015-2021)

2016年MVP。

ワールドシリーズ優勝の立役者で、攻守に優れた三塁手。

 

 

アンソニー・リゾ(2012-2021)

一塁手としてリーダーシップを発揮。

2016年の優勝メンバーであり、ファンから「キャプテン」と慕われた。

 

 

現在のカブス

2025年現在、カブスは再建期にあります。

2021年以降、ブライアント選手やリゾ選手らがトレードで放出され、若手中心のロースターで戦っています。

ダンスビー・スワンソン選手らがチームを牽引し、将来の再浮上を目指しています。

 

 

2024年シーズンは81勝81敗で地区3位に終わり、プレーオフ進出はなりませんでしたが、若手の成長に期待が集まっています。

まとめ

シカゴ・カブスは150年以上の歴史を持ち、数々の栄光と試練を経験してきました。

1907年・1908年のワールドシリーズ連覇、2016年の呪い打破は、ファンにとって忘れられない瞬間です。

リグレー・フィールドの独特な雰囲気と情熱的なファン文化は、カブスをMLBの特別な存在にしています。

今後も若手選手の成長とともに、再び頂点を目指す姿に注目が集まります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました