シアトル・マリナーズは、メジャーリーグベースボール(MLB)のアメリカンリーグ西地区に所属するプロ野球チームです。
1977年に創設され、シアトルを本拠地としています。
このチームは、長い歴史の中で数々の感動的な瞬間を生み出してきましたが、ワールドシリーズ制覇にはまだ至っていません。
ここでは、マリナーズの歴史を振り返り、主な所属選手について紹介します。
創設と初期の苦闘
マリナーズの歴史は、1970年代の訴訟から始まります。
1970年にアメリカンリーグが拡張を決定し、シアトルに新球団が与えられることになりましたが、ワシントン州知事のダン・エヴァンスが率いるグループが訴訟を起こしました。
これにより、1977年にシアトル・マリナーズが誕生しました。
初のホームゲームは1977年4月6日、キングドームで行われ、開幕戦でカリフォルニア・エンゼルスに7-0で敗れました。
チーム史上初のホームランは、4月10日に指名打者フアン・ベニケスが放ちました。
初期のマリナーズは苦しい時期が続きました。
1977年から1990年まで、勝率5割を下回るシーズンが続き、1991年にようやく初の勝ち越しを記録しました。
これはフランチャイズ史上最長の負け越し記録を更新するものでした。
キングドームはアメリカンリーグ初のドーム球場で、1976年に完成し、開幕戦では上院議員ヘンリー・ジャクソンがセレモニアルファーストピッチを投げました。
この時代、チームは低迷を続け、ファン獲得に苦労しましたが、徐々に地元支持を広げていきました。
1990年代の飛躍
1990年代に入り、マリナーズは急速に成長を遂げました。
1995年には、ルー・ピネラ監督のもとでワイルドカードとしてポストシーズンに初進出。
ヤンキースとのディビジョンシリーズで劇的な逆転勝利を収めましたが、ALCSでクリーブランドに敗れました。
この年、チームはエドガー・マルティネスやケン・グリフィー・Jr.の活躍でファンを沸かせました。
エドガーの劇的なヒットがヤンキースを破った瞬間は、チーム史に残る名場面です。
1997年と2000年にもポストシーズン進出を果たしましたが、さらなる飛躍は2001年でした。
このシーズン、マリナーズは116勝57敗というMLB史上最高の勝率を記録。
イチローとブレット・ブーンが活躍し、AL西地区を制覇しました。
しかし、ALCSでヤンキースに惜敗。ワールドチャンピオンシップには届きませんでした。
この成功は、チームの人気を爆発的に高めました。
この時期、球場は1999年にセーフィコ・フィールド(現T-Mobile Park)へ移転。
美しい外野の景色とリトラクタブルルーフで知られるようになり、観客動員を増加させました。
セーフィコの開場は、マリナーズの新時代を象徴します。
2000年代から2010年代の変遷
2000年代は、フェリックス・ヘルナンデスの台頭が目立ちました。
2005年にデビューした彼は、2010年にサイ・ヤング賞を受賞。
通算176勝を挙げ、マリナーズのエースとして君臨しました。
一方、チーム成績は低迷し、2010年代はポストシーズンから遠ざかりました。
イチローの活躍が光るものの、全体として厳しい年々が続きました。
2010年代後半には、若手選手の育成が進み、2022年に21年ぶりのポストシーズン進出を果たしました。
ディビジョンシリーズでトロント・ブルージェイズを破り、ALCSへ進出しましたが、ヒューストン・アストロズに敗れました。
この復活は、ファンに希望を与えました。
2025年現在、シーズンは49回目を迎え、通算成績は3689勝4022敗、勝率.478です。ポストシーズン進出は6回ですが、ペナントとワールドチャンピオンシップは0回です。
最近では、フリオ・ロドリゲスの成長がチームを支えています。
主な所属選手
マリナーズの歴史を象徴する選手は数多くいます。
まず、ケン・グリフィー・Jr.です。
1987年から1999年、2000年、2009年に在籍し、通算本塁打630本を記録。
守備も華麗で、2016年に殿堂入りし、マリナーズの顔として愛されました。
彼のジャンプキャッチは伝説です。
次に、イチロー。
2001年から2012年、2018年から2019年に所属。ルーキーイヤーに新人王とMVPを獲得し、打率.350、盗塁56で活躍。
通算安打3089本はMLB史上6位で、ヒット製造機として知られます。
エドガー・マルティネスは、1987年から2004年までDHとして活躍。
通算打率.312、309本塁打。1995年の劇的ヒットで有名で、2019年にDH枠で殿堂入りしました。
彼の安定した打撃はチームの支柱でした。
ランディ・ジョンソンは、1989年から1998年に在籍。
2度のサイ・ヤング賞を獲得し、速球と変化球で打者を圧倒。
後にダイヤモンドバックスで通算300勝を達成しました。
アレックス・ロドリゲスは、1994年から2000年まで若手時代を過ごし、1996年にMVPを獲得。
パワーとスピードを兼ね備え、後のヤンキース時代への基盤を築きました。
フェリックス・ヘルナンデスは、2005年から2019年。
通算176勝、ERA3.42。
2010年サイ・ヤング賞で完封勝利を19回記録し、「キング・フェリックス」の異名を取ります。
最近のスターとして、フリオ・ロドリゲス。
2022年デビュー以来、ルーキー・オブ・ザ・イヤーとシルバースラッガー賞を獲得。
2023年MVP候補となり、センターの守備と打撃で未来を担います。
キャル・レイリーは、キャッチャーとして2022年以降活躍。
パワーヒッターで、2022年のポストシーズンで本塁打を放ちました。
その他、ジョン・オーラードの安定打撃、岩隈久志の精密投球、ハロルド・レイノルズの俊足守備などもチームに貢献しました。
最後に
マリナーズは、創設以来の苦闘と輝かしい瞬間を繰り返してきました。
2001年の116勝や2022年の復活劇は、ファンの記憶に残ります。
主な選手たちは、チームの誇りです。
将来的にワールドシリーズ制覇を期待しましょう。
マリナーズの物語は、まだまだ続きます。
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