阪神タイガース背番号8、佐藤輝明。
2025年シーズン、キャリアハイとなる打率.277・40本塁打・102打点を記録し、チームの優勝に貢献。
自身初のベストナインとゴールデングラブ賞に加え、シーズンMVPに輝きました。
187センチ94キロの体から放たれる打球は規格外の飛距離を誇り、「サトテル」の愛称でファンに親しまれています。
高校時代は甲子園に縁がなく、関西の無名校から近畿大学へ進んだ大型左打者が、プロ5年目でリーグ最強打者の座を手にするまでの道のりは、順風満帆とは程遠いものでした。
原点と学生時代
1999年3月13日、兵庫県西宮市生まれ。父は講道館杯全日本柔道体重別選手権大会優勝の経歴を持つ博信氏で、スポーツ一家の長男として育ちました。
小学1年から野球を始め、6年時には阪神タイガースジュニアに選抜されましたが、中学卒業時点では「野球への熱が冷めていた」と後に振り返っており、「家から近いから」という理由で仁川学院高等学校へ進学。
高校入学後はサッカー部への入部も検討したといいます。
友人の誘いで野球部に入った仁川学院は甲子園とは縁のない学校で、3年生だった2016年の夏の県予選は初戦で5回コールド負けに終わりました。
甲子園を知らないまま高校野球は幕を閉じます。
ただし、高校2年秋頃から本格的に取り組み始めたウエイトトレーニングにより長打力を身につけ、3年春から引退までの4カ月間に高校通算20本塁打のうち15本を打つ急成長を遂げています。
入学時に175センチ65キロだった体は、大学4年間でさらに鍛え上げられていきます。
近畿大学では1年春の開幕戦からスタメン出場し、3季連続のベストナインを受賞。
大学2年時には日米大学野球選手権とハーレムベースボールウィークの日本代表に選ばれ、同秋にリーグMVPを初めて獲得しました。
4年秋には二岡智宏が持っていた関西学生野球リーグのリーグ戦通算本塁打記録を14本に更新し、3季ぶりの優勝に貢献するとともに2度目のリーグMVPを受賞しています。
2020年10月のドラフト会議では、福岡ソフトバンク、オリックス、読売ジャイアンツ、阪神の4球団から1位指名を受け、抽選の結果、地元の阪神が交渉権を獲得しました。
甲子園でプロのスカウトに注目されることなく育った選手が、4球団競合でプロ入りする。
その落差が、佐藤輝明というキャリアの面白さを象徴しています。
プロ入り後の歩みと転機
2021年、開幕2戦目にプロ初安打を初本塁打で記録すると、5月28日の西武戦では長嶋茂雄以来63年ぶりとなる新人選手による1試合3本塁打を記録しました。
5月は月間MVPを受賞し、ルーキーとして一気に全国区の注目を集めます。
横浜スタジアムでは場外弾を打ち、以降の試合で通行人への警告アナウンスが行われたことも話題になりました。
ただし、プロの壁もすぐに立ちはだかりました。
三振が多く、守備でも失策を重ねる時期が続きます。
2024年は三塁手としてリーグ最多の23失策を犯し、5月には逆転負けにつながる失策を原因として二軍に降格。
その降格直後から当時二軍内野守備走塁コーチの田中秀太とマンツーマンで特守を行い、秋と翌春もノックに没頭して守備力改善に取り組みました。
その積み重ねが2025年に実ります。
2025年シーズンは失策をわずか6に抑え、ゴールデングラブ賞を初受賞。
打撃でも40本塁打・102打点の2冠を獲得し、MVP・ベストナイン・ゴールデングラブ賞と近大史上初のセ・リーグMVP受賞という快挙も達成しています。
プレースタイルの特徴と主な実績
佐藤の打撃を一言で表すなら「スケール」です。
大学時代の後輩が「バットに当たりさえすれば、詰まった打球でもヒットになる。
とてつもないパワーとセンスがないとできない」と証言したように、並のパワーではない体格から生まれる打球の質が普通の打者とは違います。
2021年から3年連続で20本塁打以上を記録し、入団から3年間の通算本塁打を62本として田淵幸一が保持していた球団記録を更新しています。
守備は長く課題でしたが、2025年の6失策は前年の23失策からの劇的な改善で、取り組みの結果が数字に表れています。
強肩と脚力を持ち合わせているため外野守備も評価が高く、ポジションの柔軟性もあります。
主な受賞歴として、本塁打王・打点王(2025年)、セ・リーグMVP(2025年)、ベストナイン(2025年)、ゴールデングラブ賞(2025年)。
球団史上最速となる通算300打点到達(4年目9月)や、新人から4年連続で2桁本塁打と100安打を同時達成した球団初記録など、節目の数字を次々と塗り替えてきました。
まとめ
高校時代に1回戦コールド負けを経験した選手が、プロ5年目でリーグの最優秀選手になった。
数字だけ並べると突然変異に見えますが、実際には毎年の失敗から学び、守備の猛特訓を続け、スイングを修正し続けた積み重ねの先にある結果です。
近畿大学の史上初セ・リーグMVP受賞者として母校にも凱旋し、近大マグロを贈られたセレモニーは微笑ましい場面でした。
2026年シーズン、26歳の佐藤輝明は2冠王として連覇を目指す阪神打線の中心に立っています。
まだキャリアの最盛期に差し掛かったばかり。
甲子園を知らないまま上がってきた4番が、これから何本のアーチを描くのか。
そこを追いかけることが、虎党の楽しみになっています。





















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